「GetNavi」「TV LIFE」「ムー」をはじめとした歴史ある雑誌をいくつも展開している株式会社ワン・パブリッシング。同社は2年ほど前に、株式会社エビリーが自社開発したYouTube分析ツール「kamui tracker(カムイトラッカー)」を導入。本ツールをどのようにメディアビジネスで活用しているかについて、取締役社長でありメディアビジネス本部本部長の松井謙介氏にお話を伺いました。
kamui trackerのどんな機能に魅力を感じていただいているのか?メディアならではの使い方も含めた活用術について詳しく語ってくださいました。
目次
- 既成概念にとらわれないパブリッシャーであるワン・パブリッシング社のYouTubeへの取り組みとリブランディングへの挑戦
- 雑誌を起点に様々な読者とのタッチポイントを増やしたい
- インフルエンサーの影響力を可視化できるkamui tracker
- 最適なインフルエンサー探しをはじめとするkamui trackerの4つの活用方法
- YouTubeは将来の資産になる!
- 特にメディア業界の人にはおすすめしたいkamui tracker
既成概念にとらわれないパブリッシャーであるワン・パブリッシング社のYouTubeへの取り組みとリブランディングへの挑戦
ーー まず御社の事業内容について教えてください
2020年に学研グループから独立してできた出版社です。学研グループが大人向けに展開していたコンテンツを承継し、いまも歴史のある媒体を複数保有しています。雑誌が主幹の事業にはなりますが、ビジネス書などの書籍や、料理書などのムック本なども出版し、さらには複数のWEBメディアも展開しています。一方で、企業向けのソリューション事業にも注力。これは、雑誌やWEB制作で培ったノウハウを生かし、企業のコンテンツマーケティングを支援するというもの。企業のオウンドメディアの制作やYouTubeチャンネルの運営などがそれにあたります。出版事業とソリューション事業が二本柱ですが、売上の割合でいうと、一般の読者向けと企業向けの割合が6対4くらいですかね。今後、会社としてはますます企業からの売上を伸ばしていく予定で、一般の読者からも企業からも愛されるコンテンツパブリッシャーを目指しています。
ーー これまでの御社のYouTube取り組みと課題について教えてください
主力媒体の一つである「GetNavi」のYouTubeチャンネル「GetNavi TV」をはじめ、いくつかYouTubeの取り組みを始めています。動画化が困難な媒体もあるので、全ての雑誌メディアにYouTubeチャンネルがあるわけではないですが、媒体の特性に合わせて、いくつかのチャンネルを運営しています。我々のYouTubeチャンネルは、まだまだ発展途中ですが、弊社に限らず、メディアで、YouTubeチャンネルの運営に成功しているところは決して多くありません。その意味では、ワン・パブリッシングが先駆けの一つになれればいいなと思っています。例えば、「GetNaviWEB」は2025年で10年の節目の年になりますが、ずっとYouTubeチャンネルが整備されていませんでした。問題としては、チャンネルに明確なコンセプトがなく、各種コンテンツの置き場になってしまっていることが挙げられます。まずここを見直したいと思っていました。また、GetNaviにおいて、「ゲーム芸人フジタ」さんによる人気コンテンツがあり、固定ファンがついていて、とてもよく視聴されているのですが、その他のコンテンツが見られにくいという課題があります。まずは全体の設計と読者イメージを明確にして、リブランディングしていかねばなりません。
雑誌を起点に様々な読者とのタッチポイントを増やしたい
ーー YouTubeをやる目的について教えてください
雑誌だけで生き残るのは苦しい時代になっていて、紙媒体だけでは将来の大きな成長は難しいと感じています。そんな中で、我々は雑誌をアニメのキャラクターなどと同様の「知的財産」と捉え、企業に価値提供を行っています。「ムー」はその代表。そのブランドを活かして、雑誌にとどまらない多角的な展開を実践しています。紙媒体、グッズ、イベント、SNSなどがその代表ですが、もちろん動画も必要で、それこそがYouTubeをやる一番の目的です。YouTubeはもはや一般化したプラットフォームですので、確固たるブランドを持つ我々が、YouTubeに注力しなければならないのは当然のこと。つまり、YouTubeで雑誌を宣伝するのが目的ではありません。YouTubeでもメディアとしての地位を確立して、新しいマネタイズを形にしていく必要があります。
インフルエンサーの影響力を可視化できるkamui tracker
ーー なぜkamui trackerを採用したのか教えてください
kamui trackerを利用させてもらってちょうど2年くらいが経ちます。その前後から弊社のクライアントでも「タイアップにYouTuberのようなインフルエンサーを起用したい」という声を多くいただくようになりました。以前は、メディアとのタイアップなら芸能人を使いたいという要望がほとんど。もちろんYouTuberを提案することもありましたが、どうもその情報発信力に確信が持てないでいたところ、kamui trackerに出会いました。kamui trackerは、インフルエンサー(YouTuber)の持つ影響力を可視化できるところがとても良いツールです。タイアップするインフルエンサーを探す時に重宝しますし、またクライアントへの説得材料としても有用ですから、すぐに導入を決めましたね。さらに別の使い道として、「書籍出版が可能な著者を探す・発信力を測る」ということにも利用しています。単純にフォロワー数が多いから本が売れるわけではありません。どういう属性の視聴者がついているのか?どういうコンテンツがウケているのか?その視点が、本作りには重要なのですが、実はKamui trackerはそれを測るのに非常に役立つツール。本が売れるか否かの指標を見つける、というのは思いがけない副産物的な利用法でしたね。
ーー 導入時、他のツールと比較検討をされたか教えてください
いくつかのツールの提供事業者さんから話は伺いましたが、YouTubeにおいては「kamui tracker」が一番だというのは別の業者さんからも聞いていました。もちろんSNSによっては他のツールのほうが強いこともあるのですが、タイアップ提案でも著者発掘でも、一番チェックしておきたいのはYouTube。その意味では特に迷いませんでしたね。
最適なインフルエンサー探しをはじめとするkamui trackerの4つの活用方法
ーー kamui trackerの具体的な活用方法を教えてください
タイアップに適したインフルエンサー探し
ワン・パブリッシングでは主に4つの目的でkamui trackerを活用しています。1番目は、タイアップを検討している企業のニーズに合わせたインフルエンサーを探すことです。導入の決め手でもお話しした通り、インフルエンサーのパワーは、登録者数だけでは測ることができません。これまでのタイアップ案件の数はもちろん、視聴回数やコメントの質やコンテンツの良し悪し、ファンの傾向等、色々な側面から検討する必要があり、それらの調査に活用しています。
出版の検討ができる著者探し
2番目の使い方は、出版を検討できる著者を探すことです。これは、タイアップとは違い、その人にどれくらいのファンがついていて、どのくらいのエンゲージメントがあるかを重視します。また、その人の動画の特徴も把握し、どんな内容だと数字が跳ねるかもチェック。企画会議などでも「フォロワーがたくさんいます」以上の定量分析が行えるようになり、大変助かっています。分析の結果、実際に執筆をお願いした例もありましたね。
企業のタイアップ状況のリサーチ
3番目は、企業のタイアップ動向を探ることです。kamui trackerのタイアップトレンドの機能を駆使して、この企業はこの時期にこれくらい広告を出稿しているんだなという市場トレンドを把握するのに活用しています。kamui trackerを活用すれば、幾つかのカテゴリで、非常にリアルな出広状況がスピーディにわかります。これは個人的にも大変興味深く、この機能をフル活用しています。企業がYouTubeにかける費用がどんどん上がっているのが体感的に把握できるため、大変有用です。
自社チャンネルグロースのためのリサーチ
最後の活用法は、自社チャンネルを伸ばすためです。具体的な使い方としては、競合のコンテンツを分析したり、トレンドを把握したりという作業が多いですね。YouTube上のトレンドやアルゴリズムのヒントが見つかるので、それを基に、より魅力的なコンテンツの制作につなげることができます。まだKPIと呼べる指標を持たずに運用していますが、方向性は定まりつつあります。kamui trackerの数字をベースに、確実にユーザーに刺さるコンテンツを出して、チャンネルの価値をあげていきたいです。
YouTubeは将来の資産になる!
ーー 企業がYouTubeをやる意味は何だとお考えですか?
何と言ってもコンテンツファーストのメディア運営ができる、という事です。チャンネル登録者数を伸ばすとか、視聴回数を伸ばすとかのKPIももちろん大切ですが、重要なのは短期的な数字ばかりではありません。YouTubeは全てのコンテンツを貯めておける、つまりいいコンテンツであれば、長期間にわたって顧客を呼び込むことができるわけです。これは、掲出に期限がある広告施策では難しいことですよね。
WEBの世界でも、数字を稼げるだけのコンテンツより、質が高く、視聴者に評価されるコンテンツを作ることに回帰してきている気がします。YouTubeでも数値上の登録者数、視聴回数というような分かりやすい指標を追うだけではなく、永続的な財産として残せる動画を作っていくことが重要です。売上などの効果を数値で感じるまでになるには長い道のりだとは思いますが、ブランドの構築は一朝一夕では実現できません。我々のようなメディアだけではなく、一般の企業も、未来に向けて少しでも早く取り組むべきだと思います。
ーー 今後の展望を教えてください
先ほど述べたkamui trackerの4つの使い方を伸ばしていきたいと思っています。自社への活用では、引き続き著者の発掘に利用していきたいです。企業を支援する観点からはインフルエンサーの発掘、他社の分析等を軸に、自社で培ってきた編集力を活かし、企業のチャンネル支援をしていきたいです。
特にメディア業界の人にはおすすめしたいkamui tracker
ーー どんな方にkamui trackerをオススメできますか?
やはりメディアの方には使った方がいいとオススメできます。弊社では雑誌があるように、メディア企業は既に多くのコンテンツや知的財産を保有しているため、他業界と比べてYouTubeを展開しやすいはずです。YouTubeに合った形式や企画にコンテンツを作り直す必要がありますが、ゼロイチで取材や出演者をキャスティングすることを考えたら、かなり有利な状態で参入できます。
とはいえ、メディアでYouTubeチャンネルを成功させているところが少ないことからわかるように、これまでのメディア運営とは発想を切り替える必要があるのも事実です。そこでkamui trackerの力を借りて、データドリブンにタイアップを行ったり、人気コンテンツの研究をしたりしてチャンネルを成長させることが何より重要。編集者の感性に頼りがちだったコンテンツビジネスですが、kamui trackerを活用することで、多くの動画を定量的に見ることができるようになるはず。編集者の感性と、この定量値が掛け合わさることで、きっとメディアのYouTubeはもっと面白くなると思います。
ーー エビリーにひとことコメントをいただけますか?
当初の予想を超えるくらい伴走していただいていると思います(笑)。毎月1回定例を行っているのですが、直前で投げる質問にも丁寧に答えてもらったり本当に頼りにしております。カスタマーサクセスの寄り添い営業はエビリーさんの特徴の一つと言っていいのではないでしょうか?これからもよろしくお願いします!
お忙しい中、インタビューにお答えいただいた松井様に改めて感謝いたします。
これからも共にYouTubeを盛り上げていければと思います。
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