ファンベースマーケティングにはYouTubeが最適 後編
最終更新日 2023年7月14日
前編では、ファンベースマーケティングにおけるYouTube活用のメリットや成功している事例をご紹介しました。
本記事の後編では、実際に企業チャンネル運用、YouTuberタイアップでどのようにファンベースマーケティングを成功させていくかのポイントやそのヒントについてお話しさせていただきます。
目次
- 企業チャンネル運用でのファンベースマーケティングのポイント3つ
1.1. 見るべき指標
1.1.1. 視聴回数、検索流入数
1.1.2. コメントの熱量
1.2. 企画を考えるヒント
1.2.1. コメント分析によりヒントを得る
1.3. YouTube以外の動線も設計する
1.3.1. LINEの活用 - YouTuberタイアップでファンを作る
2.1. 見るべき指標
2.2. コンテンツ企画を考えるポイント - ファンベースマーケティングも振り返りが重要
- まとめ
1. 企業チャンネル運用でのファンベースマーケティングのポイント3つ
ここでは、企業チャンネルの運用におけるファンベースマーケティングのポイントについて3つお話しします。中長期的な施策として有効なチャンネル運用は、少し時間がかかりますがファンベースマーケティングとの相性が良い施策です。
次の3つのポイントを参考に、ファンのエンゲージメントを高めていきましょう。
1.1. 見るべき指標
まず、1つ目の「見るべき指標」についてです。ファンベースマーケティングでは「視聴回数」「検索流入数」「コメントの熱量」をチェックしていきましょう。
1.1.1. 視聴回数、検索流入数
視聴回数については、特に初速の視聴回数について着目するようにしましょう。投稿してから数日間の視聴回数がなかなか伸びない場合には、タイトルやサムネイルがユーザーに刺さっていない可能性が高いです。それゆえに、検索流入数というのも重要な指標となってきます。視聴回数が伸びない原因の一つとして、タイトルのキーワードがマッチしていないということが挙げられます。
つまり、ユーザーが求めているキーワード(ニーズ)を選定できていないということになります。チャンネル運用のファンベースマーケティングにおいて、まずはチャンネルに流入してきてもらうことが最初のフェーズとして重要になるため、視聴回数(特に初速)と検索流入数はチェックするようにしましょう。
より具体的なチャンネルを伸ばすヒントについては下記の記事も参照してみてください。
1.1.2. コメントの熱量
動画のコンテンツ企画内容については、YouTube上で人気の動画コンテンツを参考にすることで視聴回数自体は伸ばすことができます。しかし、単純に視聴回数が伸びるだけではファンのエンゲージメントを高めることはできません。
獲得したファンのエンゲージメントを上げていくために重要となる指標が「コメントの熱量」です。具体的に確認すべきは、
の4つになります。コメント欄は企業チャンネルにとって、直接ファンの声を聞ける宝箱のようなものです。
コメント数自体はわかりやすく、コンテンツやそのチャンネルへの熱量を測ることができます。それ以降の3つについては、より具体的な商品・サービスに対する熱量や期待を測ることができます。コメントも定量的な面と定性的な面から分析することで、ファンのエンゲージメントを上げるヒントを得ていきましょう。
1.2. 企画を考えるヒント
より良い企画を考えるには、1.1. で説明した「コメントの熱量」のうち2〜4を定量かつ定性的に分析していくことで、企画のヒントが見えてきます。
1.2.1. 動画へのコメントを分析することによりヒントを得る
まず1つ目の「商品・サービスに対するコメントがどれぐらいあるか(商品コメント率)」についてです。商品コメント率とは、対象の動画に投稿のあった全てのコメントのうち、商材に関するコメント(商品名など)の割合と定義しています。商品コメント率が高い、つまり商品・サービスへのコメントがあるほど商品・サービスに対する認知ができていると判断できます。コンテンツの中で、視聴者が商品を認識できるレベルに紹介することができていたかどうかを分析できます。
商品コメント率の目安については、調査レポートを出していますので下記記事を参考にしてください。
次に「動画内容やブランド・企業に対してポジティブなコメントがどれぐらいあるか」についてコメントのポジティブ度合いを見ていきましょう。単純に商品・サービスに対するコメントの割合が多いだけでは、ブランディングの観点から訴求したいものをファンに届けられているかまでは判断できません。ポジティブ度合いまで見ることで、ファンのエンゲージメントを上げられているかどうかがわかります。
ネガティブが多い場合には、コメントの内容を確認して具体的にどんなポイントがネガティブな印象を与えてしまったのかを分析し、改善に役立てていきましょう。
そして最後の「ファンが商品・サービスに何かを要望or期待するコメントがあるか」が非常に重要で、このコメントの内容を次回以降のチャンネル運用の企画に活かしていきましょう。ファンからのコメントにはコンテンツ企画のヒントが多く隠されています。具体的に「もっとこんな企画が見たい」「こういう紹介もしてほしい」「あんな人に出演してほしい」「もっと思い切っていいのに!」などコメントはさまざまです。一つひとつ確認することでファンが求める内容と、企業が打ち出したい内容、そして競合と被らない差別化された内容が一致したコンテンツを企画していきましょう。
1.3. YouTube以外の動線も設計する
さらにファンベースマーケティングを成功させるには、YouTube以外の動線も設計することが必要です。実際にYouTubeでの動画を見て、ファンが商品やサービスに興味を持った後、次はどのような行動に出るか想像できますか?
多くのファンは、実際の商品やサービスが購入できるサイトを調べるはずです。動画の概要欄やチャンネルの概要欄には、サービスサイト(ECサイト)のURLを必ずリンクしておくようにしましょう。さらにサービスサイト(ECサイト)のUI/UXは快適に設計されているのか?、この辺りにも着目して、YouTube以外の遷移先も整えておきましょう。遷移先まで含めてきちんと設計して整え、購入までの離脱の可能性を極力排除することをお勧めします。
また、購入までの動線の設計だけでなく、もう少し手前の段階としてより企業とファンとの距離を縮める施策としてYouTube以外のSNSを使うこともお勧めします。
例えばVTuberはYouTubeチャンネルだけでなく、Twitterアカウントを持っていることも多いです。YouTubeで毎日配信するのはなかなか工数的に厳しいところですが、Twitterではより頻度高く投稿をすることができるため、日々のVTuberの活動などをファンに知ってもらう機会を増やすことができます。
例)宝鐘マリンのTwitterアカウント
ファンとの接点が増えれば、それだけファンの熱量は高まります。TwitterやInstagram、TikTok、LINEなどさまざまなSNSを活用して、YouTube以外での接点、そしてYouTubeへの動線を増やしていきましょう。
1.3.1.LINEの活用
特にファンベースマーケティングにおいて、LINEの活用は外せません。LINEは拡散力は他のSNSに比べて劣りますが、国内におけるLINEの利用者数は8,900万人を超え、クローズドなコミュニティとしてファン化が加速しやすいSNSだと言えます。
例えば、YouTubeチャンネルからLINE登録へ誘導した後、LINEで限定的な情報などを流すことでファンのエンゲージメントを高めることが可能です。LINEは他のSNSと違って発信する先が1対1(のコミュニケーションに見える構造)になっているため、ファンは「特別感」を感じ、ファンとの親密な関係性を作りやすくなります。
またメルマガより開封率が高いとも言われており(※5)、気づいてもらいやすいところも効果が見込めるポイントの一つとなります。リッチメニューやショップカード、クーポンなどさまざま用途に合わせてカスタマイズできるところもLINEの特徴となります。
YouTubeだけでは見られづらいコアな情報は公式LINEで発信するなど、うまく使い分けてファンを醸成していきましょう。
※5 参照:Lステップ(https://linestep.jp/2022/06/30/line-mail-magazine/)
2. YouTuberタイアップでファンを作る
もちろん、YouTuberタイアップで商品・サービスのファンを作っていくことも可能です。いずれにせよ、単発ではファンを醸成させ企業の「世界観」を伝えていくことは難しいので、タイアップを活用する場合も中長期的な目線は持つようにしましょう。
中長期的に特定のYouTuberと組むことで、例えば「YouTuber◯◯さんにやって欲しい企画」などを募集することもできますし、そもそもこのコミュニケーションがファンとの一体感を作り上げることができます。YouTuberが介在して企業の世界観を伝えることで「第三者が伝える情報」は、ファンに伝わりやすく共感してもらいやすくなるというメリットもあります。
それでは具体的に見るべき指標と、コンテンツ企画を考えるポイントについてここではお話しさせていただきます。
2.1. 見るべき指標
さて、YouTuberタイアップでファンベースマーケティングをしていくには見るべき指標があります。これはそもそもYouTuberタイアップでしっかり実績を作っていくために必要な指標なので、ファンベースマーケティングに限らず見ていくべき指標となります。
その重要な指標とは下記4つになります。
- コメント内容のポジネガ比率
- 商品コメント率
上記2つの項目の詳細については、下記の記事をチェックしてみてください。
コメント内容のポジネガ比率と商品コメント率は、1.1. でもお話しした通り商品・サービスへの興味関心そして、エンゲージメントが高いかどうかを測ることができます。特にYouTuberタイアップの場合は、YouTuberのファンが多く視聴する可能性が高いため、YouTuberだけに注目がいかないようにバランスよく商品・サービスを紹介していく必要があります。
さらに実際のコメント内容を詳しく分析することで、企業が伝えたい商品やサービス、そのブランドの「世界観」が伝わっているかどうかを測ることも可能です。
ただし2章冒頭でも申し上げた通り「世界観」を伝えるということに関しては、時間がかかる取り組みになります。その「世界観」に理解を示してくれるYouTuberと中長期的に組んで施策を実行し、コメント内容を分析しながらPDCAを回し続けていくことが成功するポイントになってくるでしょう。
上記2つの指標を分析しながら、どのようにコンテンツ企画をすべきか検討していきましょう。
2.2. コンテンツ企画を考えるポイント
コメントのポジネガ比率や商品コメント率を分析することで、コンテンツ企画のヒントを得ることができます。コメントの具体的な内容にも着目して、どの場面がよかったのかタイムスタンプのコメントもチェックすると良いでしょう。
コメントのポジネガ比率は、コンテンツの企画自体の良し悪しを測るものです。また商品コメント率は、コンテンツの中で商品・サービスの訴求がうまくできたかどうかを測るものです。さらに商品に関するコメントの内容をより詳細に分析して「世界観」が伝わっているのかどうかも、定性的に検証していきましょう。
目指すはもちろん、ポジティブ比率が高く、商品コメント率が水準より高いことです。
商品コメント率については、前編でも記載しましたが下記調査レポートを出しておりますので参考にしてみてください。
上記はYouTuberタイアップを実施した後のPDCAを回す上で企画を考えるポイントになる部分ですが、最初の段階のYouTuberタイアップにおけるコンテンツ企画の考え方については下記の「もう悩まない!最適なYouTuberタイアップ -選定と企画- 後編」を参考にしてみてください。
最初のタイアップでも1回タイアップした後以降のタイアップでも重要になってくるのは「企業が伝えたい内容」、「視聴者(ファン)が求めている内容」、「YouTuberを生かした内容」の3つが掛け合わさった最大効果のある内容を検討することです。
3. ファンベースマーケティングも振り返りが重要
ファンベースマーケティングを成功させていくためには、効果的な「振り返り」が必要になります。しっかりと振り返りを行い、PDCAを回し続けることでファンのエンゲージメントを徐々に高めていくことができます。
ファンベースマーケティングは、いきなりファンの商品・サービスに対するエンゲージメントを高めることはできません。絶対的な正解は存在しないので、常にベストなコンテンツ企画を実施し、配信をしていきながらこれまでに説明したような指標をベースに「ファンの声を聞く」振り返りをしていくことで、次のベストなYouTube活用を企画していきましょう。
振り返りの大切さについては、「YouTuberタイアップは量と質を見よ!−最適なPDCAの回し方とは− 後編」の記事でも記載しているのでチェックしてみてください。
4. まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は「ファンベースマーケティング」におけるYouTube活用についてお話しさせていただきました。
ファンベースマーケティングは企業でも活用することができ、主に「YouTubeチャンネル運用」と「YouTuberタイアップ」で実現が可能です。中長期的な目線が必要なのですが、YouTubeチャンネル運用をしながらYouTuberタイアップを活用することはお勧めで、より効果的にファンを醸成させていく可能性が高まります。
見るべき指標はさまざまありますが、特に「コメント分析」はファンのエンゲージメントを高めていく上で非常に重要な指標となります。ファンを巻き込むことがファンベースマーケティングにおいては、外せない目標です。
本記事のポイントを参考にしながら、YouTubeを活用してファンベースマーケティングを加速させていきましょう。
この記事の前編をもう一度見たい方は下記よりご覧になってください。
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