ファンベースマーケティングにはYouTubeが最適 前編
最終更新日 2023年7月14日
今回は「ファンベースマーケティング」を軸としたYouTube活用についてお話ししたいと思います。企業がマーケティング施策を実施するにあたって、「顧客満足度」や商品・サービスに対する「エンゲージメント」を向上させることはリピート率を増やし、顧客単価を向上させるために非常に重要なポイントとなります。これらは、企業の売り上げに直結するだけでなく、ブランディングという観点からも重要な要素になります。
このようなファンをベースとしたマーケティングにおけるYouTube活用はどのようなものがあるのか、どうやって進めていけばいいのか、細かなところまで着目して解説します!
目次
- ファンベースマーケティングとYouTube
1.1. ファンベースマーケティングとは
1.2. なぜYouTubeがいいのか
1.3. ファンのエンゲージメントを高められているチャンネルの事例
1.4. 企業チャンネルでもできる
1.ファンベースマーケティングとYouTube
1.1. ファンベースマーケティングとは
まず、ファンベースマーケティングとは、どのようなものか知っていますか?「ファンベースマーケティング」とは、自社やブランドのファン(顧客)を大切にすることを基準に、中長期的に売上拡大やブランド価値を上げていくマーケティング手法のことを指します。
新規顧客獲得というよりかは既存顧客維持に比重が置かれるため、これまでよく使われていた新規顧客獲得重視のマーケティング手法とは異なってきます。
例えば、YouTubeであれば視聴者と相互にコミュニケーションを取れるファンに対し、そのコメントなどをもとに商品プロモーションや商品開発などに役立てることもファンベースマーケティングの一つです。こうするとファンが「自分が欲しいものが発売された」「自分の声が届いて開発されたのかもしれない」と思う可能性が高まり、ブランドに対するエンゲージメントが高まります。
なぜこの手法が近年注目されているのかというと、大きくは3つのメリットが挙げられるからです。
① 既存顧客の売上単価が上がる
② 売上が安定する
③ 情報飽和社会かつ成熟市場で勝ち抜く可能性が高まる
①と②に関係しますが、いわゆるファンベースマーケティングを昔からうまく活用できている代表的な例が「東京ディズニーリゾート®︎」です。多くの記事や論文、著書で紹介されるように、ディズニーリゾートが成長を継続できるのは「リピーター」が圧倒的に多いという要因が挙げられます。ゲスト(顧客)のエンゲージメントを高める施策を多く講じていることで「また来たい(買いたい・利用したい)」と思わせることができているため、リピーターが増え、顧客の売上単価向上や売上全体の安定に繋がります。
また③について、現代はいつでもスマホひとつで簡単に多くの情報が得られ、さまざまなサービスや商品が存在しネットでも簡単に購入できる世の中です。それゆえ、ユーザーは数ある情報の中から「選ぶ」ということが発生します。単純に情報を発信していくだけではたとえ「認知」してもらっても、「購入(サービス利用)」まで結びつけるのは厳しい市場になっています。新規顧客はまずたくさんある情報や選択肢の中から選んでもらうことがスタートになるので、ジャムの法則(※1)をもとに考えると新規顧客の獲得は年々難しいものになっていると言えます。
一方で、既存顧客(ファン)は既に商品を買ったことがあるため、ブランドへのある程度の理解や存在価値があり、ファンベースマーケティングは成熟市場においては再びの「購入(サービス利用)」まで繋げるために有効だと言えるでしょう。
※1 ジャムの法則:選択肢が多いと選べなくなってしまう心理現象のこと
参考(https://asu-yoku-laboratory.com/jam-study)
1.2. なぜYouTubeがいいのか
ここからは、ファンベースマーケティングにおいて、YouTube活用が有効な点についてお話ししていきます。
YouTubeはリーチの広さと高い訴求力を持っています。YouTubeの有用性の詳細ついては下記の記事を参照してください。
YouTubeは幅広いリーチができることが特徴で、2020年のGoogleの調査では国内の6,500万人以上がYouTubeを利用していることがわかっています。また、モバイル社会研究所の調査によれば、20代は80%以上、60代も半数以上と世代を問わずYouTubeが多くのユーザーに利用されています。
もうひとつの高い訴求力として、「動画」プラットフォームであることが特徴となっています。1分の動画の情報量は、Webページ3,600ページ分、文字に換算すると180万語に匹敵します。動画でなら短時間でも、しっかりと商品やサービスの魅力を訴求できます。
また、YouTubeにはコメント欄以外にもコミュニティ投稿という、動画のアップロード以外で視聴者とやり取りできる手段があります。ここでは動画以外にもアンケートやGIF、テキスト、画像を投稿できる機能があるため、視聴者とのコミュニケーションをより活発に行うことができます。このような機能を最大限活用することでも、よりチャンネル(ブランド)のファンを増やすことやさらにエンゲージメントを高めることに繋がります。
また、伝達できる情報量やリーチの広さから、ニッチな商品・サービスでも訴求することが可能になります。一例ですが、物質や材料の研究で世界トップレベルを誇る日本の研究所の物質・材料研究機構(NIMS)のチャンネルでは、数十年もの間、配管が熱に耐えられるかを確認するために待ち続けるという研究動画が330万回再生を超えています。
このように、時間当たりに訴求できる情報量の多さや、リーチの広さ、視聴者とのコミュニケーションを取れる機能の多さという点からファンベースマーケティングにおいてYouTubeは非常に有効なプラットフォームだと言えるでしょう。
1.3. ファンのエンゲージメントを高められているチャンネルの事例
本章では、実際にファンのエンゲージメントを高められているチャンネルの事例をいくつかご紹介します。
■ヒカル(Hikaru)
今や人気YouTuberとしてさまざまな企業ともコラボをして商品やキャンペーンを企画することも多々ある、ヒカル(Hikaru)氏。ヒカル氏はさまざまな企画を実施し、動画を配信していますが、視聴者の反応を見てサムネイルやタイトルを途中で変更することもあるほど自身のチャンネルを伸ばす工夫を実施しています。
もともとは「Hikaru Games」というゲーム実況のチャンネルからスタートしており、そこから現在はエンタメに振り切った「ヒカル(Hikaru)」のチャンネルがメインとなっています。(現在の「Hikaru Games」は方向転換をして本チャンネルの裏側の様子や一緒にYouTuberをしているメンバーとの様子も配信しているようです/2022年12月現在)
地道にファンの声や要望、反応を見てさまざまな企画を実施してYouTubeを伸ばし、濃いファンをつくってきています。このエンゲージメントの高いファンがついていることで、この数年では自身のブランドを立ち上げたり、さまざまな企業とコラボを実施しています。
例えば、ロコンドとコラボして2020年4月に展開した「ReZARD(リザード)」というD2Cファッションブランドでは、発売から約1週間で6億円の売り上げを記録しました(※2)。さらに、2021年8月にコロナ禍で困窮する飲食店を救うために実施されたジョイフルとのコラボメニュー発売した事例では、2022年10月に累計560万食40億円の売り上げを突破しています(※3)。さらに、2022年には書籍を出版してYouTuberとしての自身の売上も大きく向上させています。
※2 参照:日本ネット経済新聞(https://netkeizai.com/articles/detail/674)
※3 参照:Sirabeeエンタメ(https://sirabee.com/2022/10/26/20162964365/)
■Marine Ch. 宝鐘マリン
海賊になることを夢見て現在は海賊コスプレをする女性VTuberの宝鐘マリン氏。VTuberの中でも人気が高く、VTuber事務所ホロライブの中では1位のファン数を誇るそうです(参照:https://news.yahoo.co.jp/articles/4e29bcd3c42cc0c504cef4f6b98b62ff218ed468)。
VTuberは特にLIVE配信なども多く、投げ銭でファンとコミュニケーションを図りながらも収益を得ることができています。LIVE配信では視聴者とリアルタイムでコミュニケーションを取れるというところも、ファンのエンゲージメントを高めている一つの要因となっています。VTuberは基本は3Dのアバターですが、2D展開もしやすいのでさまざまなグッズに展開されています。
宝鐘マリン氏に関して言うと、生誕祭として彼女の誕生日を祝うキャンペーンやイベントが組まれ、それに合わせてグッズ販売なども実施されています。またマリン氏が活動を一時的に休止した際も、コミュニティ機能に報告した投稿に3,600件以上のコメントが寄せられ、彼女を心配し回復を祈るエンゲージメントの高いファンがたくさんいることがわかります。
このようにして、ファンとのコミュニケーションを大切にしたYouTube施策は、濃いファンをつくりグッズや楽曲などYouTube以外への展開をした際にも売上に繋がる可能性を高めてくれます。
1.4. 企業チャンネルでもできる
この「YouTubeのファンベースマーケティング」は、企業が活用し成果を出すことも可能です。弊社で取り組んでいる「ファンベースマーケティング」における事例をいくつかご紹介します。
■アサヒビール様 「THE FRADTERS(ドラフターズ)」
アサヒビール初のD2Cサーバーである「ドラフターズ」事業において、会員とともに商品やサービスをつくりあげていきたい、という課題がありました。
エビリーが講じた施策としては、主にYouTubeチャンネル運用とYouTuberタイアップです。本施策の目的は、ファンの熱量を高め、ファンとドラフターズの世界観を共創することでした。
具体的には、「ビールに自由と冒険を。」というコンセプトを表現するため、「アウトドア」をテーマにYouTubeコンテンツを配信しました。LINE会員にもYouTube動画を配信し、会員から動画の企画も募るなども行い、「共創」を実現しました。
結果として、UGC(※4)の創出に成功し、会員向けの高単価商品が即日完売するなどの成果が出ています。
※4 UGC(User Generated Contents):ユーザー生成コンテンツ。ユーザーの手によって制作・生成されたコンテンツのこと。例えば、SNS、ブログ、動画投稿サイトなどに投稿されたものを指す。
■大手セレクトショップ様
本案件では、自社の既存チャンネルとは違う、別軸でのチャンネル運用でグロースしたいという課題がありました。
エビリーが講じた施策としては、ファッション迷子のコミュニティに目をつけ、プロ目線でファッションの楽しみ方や「おしゃれとは何か」を企業チャンネルで発信することを提案し企画から編集配信まで一気通貫でサポートしました。
結果として、視聴者のニーズに合った企画展開を施策し徐々に認知拡大ができています。
前編では、ファンベースマーケティングにおけるYouTube活用のメリットや成功している事例をご紹介させていただきました。
後編では、より具体的に企業チャンネル運用、YouTuberタイアップでどのようにファンベースマーケティングを成功させていくかのポイントについてお話しさせていただきます。
後編の記事は、下記よりチェックしてみてください!
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