GoogleのAI Overviews(検索結果の上に出るAIによる概要)は、どんな情報を引用して回答を作っているのでしょうか。エビリーは独自調査として2026年9月、7つの業種・301の検索キーワードでAI Overviewsの引用元を調べ、引用されたYouTube動画と、同じチャンネルの引用されなかった動画を比べました。
本記事は、2026年9月30日に開催した「AIO×YouTubeセミナー」で発表した調査結果をまとめたものです。AIに選ばれる動画にはどんな共通点があるのかを、データでご紹介します。
結論:AIに引用されたのは「解説型」で「主題を名指しした」動画だった
- 7業種すべてで、AI Overviewsの引用元の1位はYouTubeでした。301語のうち、業種ごとに36〜62%の語でYouTube動画が引用されていました。
- 引用された動画の65%は、タイトルが解説・ハウツー・比較型でした。同じチャンネルの引用されなかった動画では25%で、7業種すべてで同じ傾向でした。
- 再生数や新しさは、決め手になっていませんでした。引用された動画の28%は、チャンネルの中で再生数が下半分の動画でした。
「AIO(AI Optimization)」は、AIの回答に自社の情報が選ばれるように整える取り組みのことです。今回は、国内の検索でもっとも多く使われているGoogleのAI Overviewsを対象に調べました。
調査の概要
| 調査日 | 2026年9月27日〜28日(各キーワード1回の観測) |
| 対象 | 7業種(フィットネス・スポーツ/金融・投資/人材(採用する企業向け)/ハウスメーカー/人材(転職する人向け)/クレジットカード/アパレル)の301キーワード |
| 調べたこと | Googleの検索結果(日本・PC)でAI Overviewsが表示されるか、何が引用されているか |
| 動画の比較 | 引用されたYouTube動画を出した140チャンネルのすべての動画を、kamui trackerのデータで比較(引用された202本/引用されなかった142,569本) |
比べ方のポイントは、「同じチャンネルの中で」比べたことです。チャンネルの人気や規模の違いを除いて、「同じ会社・同じ発信者の動画のうち、どれが選ばれたか」を見ています。AIの引用元は検索結果を実際に取得して確かめたもので、kamui trackerは、引用された動画のタイトル・再生数・概要欄などを分析するために使いました。
7業種すべてで、AI Overviewsの引用元の1位はYouTubeだった
7業種とも、AI Overviewsは調べた語の89〜100%で表示されました。引用元をサイトごとに数えると、7業種すべてでYouTubeが1位でした。
YouTube動画が引用されたキーワードの割合(業種別)
AI Overviewsの引用元にYouTube動画が1本以上あったキーワードの割合/7業種・301キーワード
エビリー調べ|2026年9月27〜28日| 業種 | キーワード数 | AI Overviewsの表示 | YouTube動画が引用された語 | 引用元のうちYouTube |
|---|---|---|---|---|
| フィットネス・スポーツ | 40 | 100% | 62% | 83件/264件 |
| 金融・投資 | 40 | 95% | 52% | 29件/243件 |
| 人材(採用する企業向け) | 35 | 97% | 46% | 28件/218件 |
| ハウスメーカー | 56 | 96% | 43% | 59件/333件 |
| 人材(転職する人向け) | 38 | 89% | 42% | 33件/188件 |
| クレジットカード | 47 | 100% | 40% | 39件/280件 |
| アパレル | 45 | 93% | 36% | 25件/205件 |
引用元の多くは各社のWebサイトや記事ですが、サイトを1つずつ数えると、YouTubeが最も多く引用されていました。体の動かし方を説明するフィットネスや、仕組みの説明が必要な金融では、半数以上の語で動画が引用されていました。
共通項①:タイトルが「解説・ハウツー・比較型」
引用された動画と、同じチャンネルの引用されなかった動画のタイトルを比べると、最も大きな差が出たのが動画の「型」でした。「〇〇とは」「〇〇のやり方」「〇〇と〇〇の違い」のように、疑問に答える形のタイトルです。
タイトルが解説・ハウツー・比較型の動画の割合
引用された動画202本と、同じチャンネルの引用されなかった動画142,569本の比較(それぞれのグループの中での割合)
この差は、7業種すべてで同じ向きでした。
| 業種 | 引用された動画 | 引用されなかった動画 |
|---|---|---|
| 金融・投資 | 82% | 24% |
| クレジットカード | 73% | 26% |
| ハウスメーカー | 66% | 37% |
| 人材(採用する企業向け) | 64% | 13% |
| フィットネス・スポーツ | 62% | 34% |
| 人材(転職する人向け) | 56% | 30% |
| アパレル | 53% | 13% |
ここでの割合は、「引用された動画のうち何%が解説型だったか」です。「解説型の動画なら必ず引用される」という意味ではありません。それでも、同じ会社の動画の中で比べてもこれだけの差があることから、AIは、検索した人の疑問に答える動画を選んでいると考えられます。
なお、「ランキング・おすすめ型」のタイトルも、引用された動画では19%、引用されなかった動画では6%でした。
共通項②:タイトルで主題を名指ししている
次に、同じ検索キーワードで再生数が多い動画と比べました。検索キーワードの主題になる語(たとえば「注文住宅」「投資信託」)がタイトルに入っている動画は、引用された動画で82%、引用されなかった動画で62%でした。
一方で、検索キーワードを語順どおりそのまま入れた動画は、5業種で引用された170本のうち6本(4%)だけでした。キーワードを詰め込む必要はなく、何について説明する動画なのかを、タイトルではっきり言うことが大切だと分かります。
共通項③:チャプターで区切られ、「1シーン」単位で引用される
AI OverviewsのYouTubeへの引用リンク296件のうち、132件(45%)は「動画の何秒目から」まで指定していました。AIは動画を丸ごとではなく、答えになる場面を指して引用していることが分かります。
概要欄にチャプター(目次のタイムスタンプ)がある動画は、引用された動画で47%、引用されなかった動画で26%でした。また、チャプターのある動画は、秒数まで指定して引用される割合が高い傾向がありました(48%と31%、5業種で集計)。内容の区切りをチャプターで示すと、AIが該当する場面を見つけやすくなる可能性があります(因果関係までは検証していません)。
引用された動画の「型」の内訳
引用された動画をタイトルの言葉で分類すると、どんな型が多かったのでしょうか。5業種(ハウスメーカー、クレジットカード、金融・投資、フィットネス・スポーツ、アパレル)で引用された170本を数えました(1本の動画が複数の型に当てはまる場合は、それぞれに数えています)。
引用されたYouTube動画の型(タイトルによる分類)
5業種で引用された170本・重複あり
エビリー調べ|2026年9月27〜28日最も多かったのは「やり方」を教えるハウツー型と、「〇〇とは」に答える解説型でした。「やってはいけないこと」「よくある失敗」を伝える動画も21本あり、検索した人が知りたい注意点に答える動画も選ばれていました。
概要欄にも傾向がありました。検索キーワードの語をすべて概要欄に含んでいた動画は、引用された170本のうち92本(54%)でした。クレジットカードでは32本中26本(81%)と特に高く、タイトルだけでなく概要欄でも「何について説明する動画か」を書いている動画が多くなっていました。
業種別に見た、AIに引用された動画
共通点がある一方で、どんな語に、どんな発信者の動画が選ばれるかは、業種によって違いました。7業種それぞれの特徴をまとめます(いずれも2026年9月27〜28日の調査時点)。
フィットネス・スポーツ:体の動かし方は、動画が選ばれる
7業種で最も多く、40語のうち62%でYouTube動画が引用されていました。ゴルフに関する語は6語すべて、ストレッチは6語中5語で動画が引用されています。体の動かし方のように、文章だけでは伝わりにくい内容ほど、AIは動画を根拠に選んでいると考えられます。引用されたチャンネルは登録者10万人以上が72%で、大きなチャンネルが強い業種でした。
金融・投資:仕組みの説明に、解説動画が使われる
40語のうち52%で動画が引用されていました。投資信託・株式に関する語は、それぞれ6語中5語で動画が引用されています。引用された動画の82%が解説・ハウツー・比較型のタイトルで、7業種の中で最も高い割合でした。証券会社の公式チャンネルや、お金の仕組みを解説する個人のチャンネルが選ばれていました。月間の検索数が多い「株主優待 おすすめ」のような語でも、動画が引用されていました。
クレジットカード:企業の公式チャンネルが、解説動画で選ばれる
47語のうち40%で動画が引用されていました。特徴的だったのは、カード会社の公式チャンネルが、解説動画で複数の語に引用されていたことです。セキュリティやキャッシュレスに関する語で動画が多く引用されていました。引用された動画は概要欄の整備が進んでおり、概要欄にチャプターがある動画が75%と、7業種で最も高くなっていました。
ハウスメーカー:小さなチャンネルや地域の工務店も選ばれる
56語のうち43%で動画が引用されていました。大手の住宅メーカーは、自社サイトの記事では多く引用されている一方で、公式のYouTube動画はほとんど引用されていませんでした。動画で引用されていたのは、地域の工務店や、住宅の専門家として発信する個人のチャンネルです。引用されたチャンネルの40%は登録者1万人未満で、チャンネルの大きさより、疑問に正面から答えているかが問われる業種でした。
人材(採用する企業向け・転職する人向け):小規模なBtoBのチャンネルも引用される
採用する企業向けの35語では46%、転職する人向けの38語では42%で動画が引用されていました。採用する企業向けでは、引用された動画28本のうち、kamui trackerに収録されている(主に登録者1,000人以上の)チャンネルの動画は11本だけでした。登録者の少ない、法人向けの小さなチャンネルの動画も、AIの回答に選ばれているということです。なお、採用する企業向けは、タイトルで主題を名指しする割合が引用されなかった動画とほぼ変わらない、7業種で唯一の例外でした。
アパレル:AIの回答が「売り場」になりつつある
45語のうち36%で動画が引用されていました。7業種の中では最も低い割合ですが、引用された動画の53%は解説・ハウツー型で、引用されなかった動画(13%)との差は大きくなっていました。靴のお手入れの方法など、手順を見せる動画が選ばれています。一方で、流行(トレンド)に関する語では、動画は引用されていませんでした。また、45語のうち12語では、AI Overviewsの中に商品カードが直接並んでいました。
検索数の多い語でも、動画は選ばれている
「動画が引用されるのは、検索数の少ない細かい語だけでは」と思われるかもしれません。しかし、5業種で比べると、動画が引用された語の月間検索数の中央値は、引用されなかった語と同じか、それより多くなっていました(たとえば金融・投資は1,520回と800回、クレジットカードは1,280回と472回)。動画は、検索数の多い主要な語でも、AIの回答の根拠に選ばれていることが分かります。
決め手にならなかったもの:再生数・新しさ・CM
- 再生数:引用された動画の再生数の中央値は約2万回、引用されなかった動画は約1.3万回で、差は小さいものでした。引用された動画の28%(57本)は、チャンネルの中で再生数が下半分の動画でした。
- 新しさ:公開からの日数の中央値は、引用された動画が744日、引用されなかった動画が956日で、はっきりした差はありませんでした。公開から2年以上たった動画も引用されています。
- ショート動画:引用された動画のうちショート動画は7%で、引用されなかった動画(21%)より少なくなっていました。
また、テレビCMやプロモーション型の動画は、引用された動画の中に1本もありませんでした(5業種で集計)。企業の公式チャンネルでは、多く再生されているのはCMであることが少なくありません。それでもAIが選んだのは、多くの人に見られた動画ではなく、検索した人の疑問に答える動画でした。
自社のYouTube動画に当てはめるには
- 自社の業種で、AI Overviewsが表示され、動画が引用されているキーワードを探す(引用元がまだ記事中心のキーワードも、動画の企画の候補になります)
- そのキーワードの疑問に答える「解説・ハウツー・比較型」の動画を企画し、タイトルで主題を名指しする
- 概要欄にチャプターを付けて、答えになる場面を分かりやすくする
キーワードの選び方や、動画を作ってから効果を測るまでの手順は、YouTube AIO対策とは?AI Overviewsに引用される動画の作り方で詳しく解説しています。
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この続き「1か月後、引用はどう変わったか」は、10月28日(水)のセミナーで公開します。9月と10月の実測を比べ、AIの回答に選ばれやすい動画の条件と、AIが動画のどの場面を引用しているかを約40分で解説します。動画の制作チェックリストのプレゼントつき(無料)です。
よくある質問
ショート動画は、AIの回答に引用されますか?
引用されることはありますが、少数でした。引用された動画のうちショート動画は7%で、同じチャンネルの引用されなかった動画(21%)より少なくなっていました。AIの回答の根拠には、通常の横長の解説動画が選ばれやすい傾向がありました。
古い動画でも引用されますか?
はい。引用された動画の公開からの日数の中央値は744日(約2年)で、引用されなかった動画(956日)とはっきりした差はありませんでした。新しい動画ほど有利とは言えず、疑問に答える内容であれば、以前に公開した動画も選ばれていました。
登録者が少ないチャンネルでも引用されますか?
業種によります。ハウスメーカーでは、引用されたチャンネルの40%が登録者1万人未満でした。一方、フィットネス・スポーツでは登録者10万人以上が72%でした。チャンネルの規模は決め手ではないものの、業種によって差があります。
動画の長さは何分がよいですか?
今回の調査では、長さは決め手になっていませんでした。引用された動画の長さの中央値は約10分で、引用されなかった動画(約8分)と大きな差はなく、業種によって長いほうが選ばれたり、短いほうが選ばれたりしていました。
AIの回答に引用されると、再生数は伸びますか?
今回の調査では扱っていません。YouTubeの分析画面では、AI Overviews経由の視聴と通常の検索経由の視聴を区別できないためです。引用の効果は、引用の事実・同じ時期の検索からの流入・視聴の質を組み合わせて見る必要があります。
調査の注意点
- 2026年9月27日〜28日に、各キーワードを1回ずつ調べた結果です。AI Overviewsの回答や引用元は日々入れ替わるため、同じ語で検索しても、今は違う結果が出ることがあります。
- 検索結果の取得には、SerpApi(フィットネス・スポーツ、ハウスメーカー、アパレル)とDataForSEO(そのほかの4業種)を使いました。
- 動画の比較は、kamui trackerに収録されている動画(主に登録者1,000人以上のチャンネル)で行いました。
- 動画の型は、タイトルの言葉から機械的に分類したものです。
- 傾向を示したもので、条件を満たせば引用されることを保証するものではありません。また、AIからの引用で再生数が伸びるかどうかは、YouTubeの分析画面ではAI Overviews経由と通常の検索経由を区別できないため、今回は扱っていません。
まとめ:AIに選ばれるのは「疑問に答える動画」
7業種・301キーワードの調査では、AI Overviewsの引用元の1位はすべての業種でYouTubeでした。引用された動画には、「解説・ハウツー・比較型のタイトル」「主題の名指し」「チャプターでの区切り」という共通点があり、再生数や新しさ、CMかどうかは決め手になっていませんでした。
すでにYouTubeチャンネルを運用している企業でも、CMやプロモーションの動画だけでは、AIの回答には選ばれにくいのが現状です。
