【2025年 YouTube流行語大賞】大賞は「AI〇〇」! Switch2からおじさん構文まで、今年のトレンドを徹底解説

目次
はじめに
2025年も、YouTubeでは数々の流行が生まれました。 過去数年間の潮流であった「ショート動画による断片的なエンターテインメント」を維持しつつも、プラットフォーム自体がより重層的な意味を持つ場へと進化を遂げた1年だったと言えるのではないでしょうか。
今回、YouTubeデータ分析ツール「kamui tracker」を活用し、2025年のYouTubeを盛り上げたワードを選出しました。 昨今急速に浸透した「AI」技術、世界中の注目を集めた「大阪万博」、そして政治活動の主戦場となった「参院選」など、多様なワードがノミネートされています。
本記事では、大賞およびノミネートされた10個のキーワードについて、発生メカニズムや拡散経路、背後にある社会心理的要因を分析します。各ワードを象徴する動画もあわせてご紹介します。
大賞:「AI〇〇」
2025年、YouTubeを根底から揺り動かしたキーワードは「AI〇〇」に決定しました。
選出の決め手は、「AI」という単語がタイトルに含まれる動画の総数が圧倒的であった点と、AIを活用したフォーマットが「珍しい技術」から「日常的な表現」へと昇華された点です。
生成AIによるイラスト作成からLive2D化、さらにはリアルタイム多言語翻訳配信に至るまで、AI生成コンテンツはクリエイターと視聴者の双方にとって不可避の存在となりました。YouTubeのあらゆるレイヤーに「AI」が浸透したことこそが、大賞選出の理由です。
また、他のノミネートワードにもAI技術が深く関わっています。例えば「おじさん構文」ブームの火付け役がAI音声合成エンジンであったように、多くのヒットの裏側にAIの力が存在していました。
▼代表的な動画
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ノミネートワードのご紹介
おじさん構文
音声合成エンジン「雨衣」の楽曲「お返事まだカナ? おじさん構文!」のヒットと、そこから派生したミーム現象です。
楽曲そのものの人気に加え、絵文字を多用する独特の文体がZ世代に「エモい・面白い」ものとして受容されました。実父のLINEを公開する検証動画や、AIに構文を作らせる企画など、楽曲の枠を超えたムーブメントへと発展。「歌ってみた」「踊ってみた」だけでなく、コメント欄までもが絵文字で溢れかえる現象を引き起こしました。
▼代表的な動画
参院選
2025年7月の参議院選挙は、YouTubeが政治的言論空間として定着したことを証明するイベントとなりました。選定理由は、各政党の公式発信に加え、「切り抜き動画」が選挙戦の定番フォーマットとして確立された点です。
昨年の都知事選以上の盛り上がりを見せた今回の参院選では、多くの陣営がガイドラインを設けた上で第三者による切り抜き拡散を推奨。その結果、ショート動画を中心に演説や討論のハイライトが大量に生成され、普段長尺動画を見ない層のタイムラインにも「参院選」が頻出しました。 政治家、メディア、そして一般市民(切り抜きクリエイター)の三者が、それぞれの思惑で動画を量産したことが、上位ランクインの要因です。
▼代表的な動画
Switch2
ゲーム業界のみならず、ガジェット界隈を含めた2025年最大のムーブメントの一つです。選定理由は、発売日に向けた「期待感の醸成」から、発売後の「実体験の共有」まで、年間を通じて関連動画が途切れることなく投稿され続けた点にあります。
年初のスペック予想・リーク考察に始まり、春先の予約争奪戦ニュース、そして発売以降のHIKAKINをはじめとするトップYouTuberによる開封・レビュー動画まで、話題が尽きることはありませんでした。「7.9インチ画面」や「新Joy-Con」といった機能ワードと共にタイトルに「Switch2」を含めることが、再生数を稼ぐ確実な手段として全ジャンルのクリエイターに採用されました。
▼代表的な動画
ラブブ(Labubu)
アートトイ市場から一般層へと爆発的に普及したキャラクター「ラブブ(Labubu)」は、特に女性層やVlog投稿者の間で圧倒的な支持を得ました。単なる商品紹介を超え、ライフスタイルを表現する「アイコン」として定着したことが選出理由です。
K-POPアーティストの愛用をきっかけに、YouTube上では「開封動画(Blind Box Opening)」のスリルや、ファッションアイテムとして日常に溶け込ませるVlogコンテンツが人気を博しました。愛らしい見た目と入手困難なレアリティが、コレクター魂と発信欲求を同時に刺激し、購入報告動画の連鎖を生みました。
▼代表的な動画
倍倍FIGHT!
2025年の音楽トレンドの中でも、歌詞の特定フレーズやダンスが一人歩きする「フレーズ・ミーム化」が顕著だった事例です。
2024年4月リリースのCANDY TUNE「倍倍FIGHT!」は、冒頭のホイッスルダンスを取り入れた「踊ってみた」動画がインフルエンサーやVtuberによって拡散され、2025年に入ってから注目を浴びました。THE FIRST TAKEへの出演やプロ野球球団とのコラボなど、二次創作やメディアミックスが加速し、Shorts動画のBGMとして不動の地位を築きました。
▼代表的な動画
大阪万博
2025年最大の国家的イベントである大阪・関西万博は、年間を通じてYouTube上の主要トピックであり続けました。公式・非公式を問わず、多角的な視点からの動画投稿が相次いだ点が選定理由です。
開幕前は建設状況やチケット情報、公式キャラクター「ミャクミャク」のデザインを巡る議論やファンアートが話題を呼びました。開幕後は、会場Vlogや「全パビリオン制覇」などの体験型コンテンツが急増。特に公式が注力した「バーチャル万博」領域では、メタバース空間でのイベント参加やアバター交流の実況配信が多く見られ、現地に行けない層への広がりを見せました。
賛否両論を含めた国民的関心の高さが、そのままYouTube上の熱量として現れた形です。
▼代表的な動画
今これ・ナルトダンス
中国発の「科目三」が日本独自に進化した「ナルトダンス」と、ネットスラング「今これ構文」が融合したハイブリッドな流行です。
決定打となったのは、Mrs. GREEN APPLEによる公式参入でした。大ヒット曲『ライラック』に合わせ、メンバー自身が「Mステ出たすぎて今これ」と投稿した動画は、本家がネットミームを遊び倒すサプライズとして爆発的な反響を呼びました。「ダンスミーム×人気楽曲×本人の踊ってみた」という、ショート動画におけるヒットの法則を確立させた事例です。
▼代表的な動画
MADTOWN
ゲーム実況コミュニティにおける2025年最大の熱狂の一つ、『GTA5』のストリーマーサーバーイベント「MADTOWN」。
長時間に及ぶ配信アーカイブに加え、ファンによる無数の「切り抜き動画」や「まとめ動画」によってタイトル数が激増したことが選定理由です。警察、ギャング、店員などの役割を演じる即興劇(ロールプレイ)は、詳細な文脈を含むタイトル(「誰と誰が会話した」「あの事件の裏側」など)で切り抜かれ、物語を多角的に楽しむ視聴文化を形成しました。コミュニティの熱量の高さが際立ったキーワードです。
▼代表的な動画
平成
Z世代を中心とした若年層による「2000年代(Y2K)カルチャー」の再解釈が、YouTube上の大きな潮流となりました。
ファッション、ガジェット、音楽の各分野で「平成」を冠したコンテンツが安定して投稿されています。「平成ギャルメイク」や、あえて画質を落とした「平成風Vlog」、当時のJ-POPやアニソンの「歌ってみた」などが急増。デジタルネイティブ世代にとって、スマホ以前の平成文化が逆に新鮮で「エモい」対象として捉え直された1年でした。
▼代表的な動画
7月5日
特定の日付がこれほど動画タイトルを埋め尽くした例は、過去に類を見ません。予言や都市伝説に端を発した「2025年7月5日」の話題が、SNSを経由してYouTubeで巨大な考察ブームを巻き起こしました。
都市伝説テラーによる解説のみならず、防災グッズ紹介、当日の実況ライブ、そして「何も起きなかった」という検証動画に至るまで、多様なコンテンツが生成されました。人々の不安や好奇心がアルゴリズムによって増幅され、一つの社会現象を作り上げた事例として選出されました。
▼代表的な動画
おわりに
2025年のYouTube流行語大賞、いかがでしたでしょうか。 「AI」という技術革新がベースにありつつも、そこから生まれるのは「懐かしさ(平成・おじさん構文)」や「熱狂(参院選・MADTOWN)」といった、非常に人間臭い感情であったことが印象的です。
来年はどのようなトレンドが生まれるのか、引き続きYouTubeの動向に注目していきましょう。