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YouTubeを活用したブランディング戦略のコツと事例

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最終更新日 2024年4月25日

広告市場の拡大や企業と生活者の接点が多岐にわたっていることから、生活者との接点創出は難しくなってきています。つまり、「ただ広告を打てば」「ただプロモーションの数を増やせば」接点が創出できて売り上げにつながる、継続してリピートを促せる、という時代ではなくなっています。
人々が何かを購入するまでには「ストーリー」や「ブランドイメージ」が大きく影響してきます。 こういった企業のブランディングやストーリーテリングをしていくのに、YouTubeは非常に有効なプラットフォームです。その理由や実際にブランディングに成功している事例、YouTube活用を始める際に抑えておくべきポイントをお話しします。

目次

1. ブランディングにYouTubeを活用するメリットとデメリット
 1.1. 【メリット1】深い訴求ができ、ファンを作りやすい
 1.2. 【メリット2】ユーザーの声を直接聞くことができる
 1.3. 【メリット3】訴求できる幅が他のSNSよりも広い
 1.4. 【デメリット】炎上のリスクがある
2. YouTubeでのブランディングを成功させるためのコツ
 2.1. チャンネルのコンセプトをしっかり決める
   2.1.1. ターゲットを誰にするか
   2.1.2. ブランディングメッセージ
   2.1.3. コンテンツ内容
 2.2. タイトルや概要欄、サムネイルを統一する
 2.3. コンスタントに動画を投稿する
3. ブランディングに成功している企業チャンネル事例6選
 3.1. JALふるさとプロジェクト
 3.2. トヨタイムズ
 3.3. 有隣堂しか知らない世界
 3.4. 松井証券_MatsuiSecurities
 3.5. いばキラTV – IBAKIRA TV –
3.6. インスタ運用のプロ集団_SAKIYOMI
4. まとめ|深さも広さもあるYouTubeでブランディング


1. ブランディングにYouTubeを活用するメリットとデメリット

1.1. 【メリット1】深い訴求ができ、ファンを作りやすい

YouTubeは動画を主軸としたSNSであり、1分の動画の情報量はWebページでいうと3,600ページ分、文字に換算すると180万語に相当します。そのため、視聴者は短い時間で深く理解することが可能です。動画での情報発信により、企業は商品やサービスについて深く、魅力的な情報を提供することができます。

図1)動画1分あたりの情報量

こういった面から、YouTubeは視聴者への深い理解を促すことができるので、企業がファンを作り、ブランドイメージを定着させるのに非常に有効なプラットフォームだと言えるのです。

1.2. 【メリット2】ユーザーの声を直接聞くことができる

YouTubeはコメント機能があるため、視聴者から直接意見を聞くことができます。そのため、企業は視聴者(見込み顧客)とコミュニケーションをとり、顧客ニーズに合った商品やサービスを提供するためのヒントを得ることもできるでしょう。さらにコメント欄に多くの「いいね」がつくことで、そのサービスや商品について、より信頼性が高まる効果も期待できます。
また、YouTubeには「コミュニティ」というチャンネル専用の掲示板のような
信者と視聴者が双方にコミュニケーションを取れる機能があります。単純に動画への「いいね」や「コメント」だけでなく、こういった機能をうまく使うことで視聴者との深い交流も実現することができます。

図2)コミュニティ機能のイメージ

視聴者とのコミュニケーションは企業にとって非常に重要であり、YouTubeを活用することで、このコミュニケーションを効果的に行うことができます。

1.3. 【メリット3】訴求できる幅が他のSNSよりも広い

YouTubeは動画の種類が多岐に渡り、かつ視聴者の年齢層もさまざまで、企業が訴求できる幅が非常に広いです。例えば、商品紹介や製品のレビュー、イベントの告知など、様々な情報を発信することができます。また、YouTubeは広告を出すこともできるため、YouTubeチャンネルを開設したり、YouTuberタイアップ(PR案件)を実施しなくても、YouTube広告によって商品やサービスの認知度を高めることも可能です。
YouTubeを利用している人は国内だけでも月間7,000万人を超えています。また視聴者の年齢の幅も広く、60代以上でも50%以上がYouTubeを利用していることがわかっています。

図3)YouTube利用状況

このように、配信するコンテンツの幅の広さや視聴者の幅の広さから、他のSNSに比べてもかなりさまざまな訴求ができるSNSと言えます。

1.4. 【デメリット】炎上のリスクがある

YouTube活用におけるデメリットのひとつとして、「炎上リスク」が挙げられます。
入念なチェックやリスクヘッジをしておかないと、企業が不適切な情報を発信してしまう可能性があります。そのため、企業は情報発信前に注意点やデメリットを十分に把握し、動画内容の入念なチェックをする必要があります。

どのSNSでも言えることですが、どんなに「大丈夫」と思っていても絶対に炎上しないとは言い切れません。万が一炎上してしまった時の対処法については、社内であらかじめルールを作っておくことをお勧めします。例えば、炎上が起きた際には担当者だけの判断でいきなりコメントを出さず、まずは社内で迅速に共有し関係者でどのような方針で対処するかを早い段階で判断して、行動を起こすようにする、などのルールを最低限持っておきましょう。



2. YouTubeでのブランディングを成功させるためのコツ

YouTubeでのブランディングを成功させるためには、以下のようなポイントが重要となります。

2.1. チャンネルのコンセプトをしっかり決める

まずは、自社チャンネルのコンセプトを決めることが大切です。ここでは、参入すべきマーケットの調査と取り扱うキーワードの調査が完了していることを前提に解説します。
マーケットやキーワードの調査に関しては下記記事の1章を参照してください。

ブランディングにおけるコンセプトを決めるには、ターゲットとブランディングメッセージ、そしてコンテンツ内容を決めていく必要があります。

2.1.1. ターゲットを誰にするか

狙いたいターゲットは誰なのかによって、YouTubeチャンネルのコンセプトやコンテンツ内容は大きく左右されます。既存事業であれば、既にある程度ターゲットは決まってくると思います。また新規事業においても、YouTube上でそのターゲットがカバーできるのか、それともまだ満たされていないニーズかを検討していくことが必要です。
ターゲットは、年齢や性別、趣味嗜好、職業などある程度細かく分けて設定すると良いでしょう。

2.1.2. ブランディングメッセージ

ブランディングメッセージは、コンテンツ内容を決めていく上でも重要なポイントになります。視聴者が自社チャンネルを見た時、どんなイメージを持って欲しいか、どんなことが伝わって欲しいのかをしっかり言語化しましょう。

2.1.3. コンテンツ内容

ターゲットやブランディングメッセージが決まったら、実際に動画のコンテンツ内容の全体方針を考えていきましょう。上記の「ブランディングメッセージ」からブレないように内容を決定していくことが大切です。コンテンツ内容を考える上で次の4つのポイントを押さえておきましょう。

  • 世界観
  • ストーリー
  • 演者
  • 視聴者に与えるベネフィット

コンセプトを考える段階では、一つひとつの動画の企画をどうするかというよりは、チャンネルを通して変わらないものを決めていくことが重要です。

2.2. タイトルや概要欄、サムネイルを統一する

チャンネルの統一感を持たせることは、ブランディングにおいて非常に重要なポイントになります。特にサムネイルの見た目を統一して「世界観」を作ることが、最短でできるブランディング戦略です。動画に興味を持ってチャンネルに入ってきてくれた視聴者に、チャンネル全体の動画一覧を見た時にどんな印象を持ってもらうか、「見やすい」「他の動画も見てみたい」などとポジティブな感想を持ってもらえるかどうか、が大切です。

図4)統一されたサムネイルのイメージ

また、タイトルや概要欄も、狙ったキーワードや引っかかりやすいキーワードを入れるようにしていきましょう。これはVSEO(Video Search Engine Optimization)とも呼ばれ、YouTubeでは基本的にキーワードを使用して動画を検索するスタイルです。つまり、どのキーワードで検索結果に表示されるかを選ぶことは非常に重要です。
キーワードの選定をしっかり行った上で、タイトルの付け方も統一していきましょう。なお、タイトルは最大100文字まで使用できますが、検索画面や動画一覧で見た時に表示されるのは28文字までです。最初の28文字以内に重要なキーワードを入れておくことをお勧めします。

2.3. コンスタントに動画を投稿する

動画の投稿頻度は、企業のYouTubeチャンネルの成長に大きく影響します。コンスタントに動画を投稿することで、企業は視聴者からの支持を集めることができます。また、定期的に動画が配信されていれば、視聴者が更新を楽しみにして通知が来るようにチャンネル登録をしてくれる可能性も高まります。
YouTubeの運用は「マラソン」と同じで、少しずつ継続していくことが結果につながります。最低でも週1回、可能であれば週2回更新するように心がけましょう。

図5)継続運用とチャンネルの伸びのイメージ

自分たちだけでコンスタントにコンテンツを考えて更新していくのは大変、という方はぜひ弊社に一度ご相談ください。


3. ブランディングに成功している企業チャンネル事例6選

以下は、YouTubeを活用してブランディングに成功している企業チャンネルの事例です。

3.1. JALふるさとプロジェクト

「JALふるさとプロジェクト」は、地方の魅力を紹介することで、地域活性化を目的としているYouTubeチャンネルです。JALの大元のチャンネルとは別立てでチャンネルを設立することで、「JALの地方創生への活動」がより強調されて視聴者へ伝わるブランディングを実現しています。運用開始から半年で10万リーチ、1万回以上の再生回数を獲得できています。

3.2. トヨタイムズ

「トヨタイムズ」は、トヨタ自動車のグループ会社が運営するYouTubeチャンネルです。トヨタ自動車の新しい技術や商品紹介、イベント情報などを発信しながら、トヨタで働く社員の姿勢や想いが伝わるようなコンテンツになっています。
規模の大きな会社だからこそ、そこで働く一人ひとりの顔が見えることで理念を体現している様子が伝わり、より良いブランディングにつながっています。

3.3. 有隣堂しか知らない世界

「有隣堂しか知らない世界」は、本の紹介や書店の魅力を発信しているYouTubeチャンネルです。視聴者からは、チャンネル自体の世界観に魅了されているという声や、実際に紹介している文房具や書籍に興味を持っているといった声などポジティブなものが多数寄せられています。
民放の某バラエティ番組を模倣した番組構成にはなっていますが、有隣堂らしさや本チャンネルの出演者にファンがつくなど、ブランディングができている事例と言えるでしょう。

3.4. 松井証券_MatsuiSecurities

「松井証券_MatsuiSecurities」は、株式投資に関する情報を発信しているYouTubeチャンネルです。投資に詳しい専門家やタレントを起用して、バラエティ番組のような番組構成にすることで、「難しい」と敬遠されがちな投資の話をわかりやすく身近に感じられるよう工夫されたコンテンツを配信しています。視聴者からは実際に「学びになった」「投資を始めました」などというコメントも寄せられています。
難しいと思われやすい金融や投資などのテーマについては、わかりやすくバラエティ要素を入れるなどコンテンツ内容を工夫することが大切です。

3.5. いばキラTV – IBAKIRA TV –

「いばキラTV – IBAKIRA TV -」は、茨城県の観光情報を発信しているYouTubeチャンネルです。「茨ひより」というVTuberが、自治体公認の茨城県バーチャル広報課 VTuberチームのアナウンサーとして茨城県の魅力を伝えています。
他にもお笑いタレントやYouTuberなどとコラボをして、さまざまなコンテンツを配信しています。

3.6. インスタ運用のプロ集団_SAKIYOMI

「インスタ運用のプロ集団_SAKIYOMI」は、Instagram運用代行のサービスを展開する株式会社SAKIYOMIが配信しているチャンネルです。サムネイルやタイトルで大きく引きを作って、内容も初心者にもわかりやすく構成されています。
Instagramでも発信をしていますが、Instagramだけでは伝わりづらい詳細な部分などを YouTubeで展開しています。各SNSをうまく使ってノウハウを配信している点が、「InstagramといえばSAKIYOMI」のブランディング構築に繋がっているでしょう。


4. まとめ|深さも広さもあるYouTubeでブランディング

この記事では、YouTubeを活用してブランディングに成功している企業の紹介と、ブランディングに成功するためのポイントについて解説しました。

YouTubeは訴求できる情報の「深さ」だけでなく、「幅広い」層にも届けることが可能であり、ブランディング目的の利用にもメリットの多いプラットフォームと言えるでしょう。
ブランディングに成功している企業チャンネルの共通点としては、コンセプトをしっかり設計し、サムネイルやタイトルだけでなくコンテンツの内容も統一感を持たせていることが挙げられます。
以上の内容を踏まえ、YouTubeを活用した動画マーケティングを成功させ、企業のブランディングにつなげていただければ幸いです。

また、エビリーは国内最大級のYouTubeデータ分析ツール『kamui tracker』を活用してデータに基づいた最適なチャンネル運用についてサポートやコンサルティングを行っております。社内だけでの運用が難しい、もう少し最適な運用を知りたい、という方はぜひ下記よりお気軽にお問い合わせください。

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