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kamui trackerマーケター編集記事!2023年YouTube大胆予測! 前編

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最終更新日 2023年5月31日

2022年はコロナ禍の制限も徐々に緩和され、人々の活動が国内外問わず活発さを取り戻してきた年だったのではないでしょうか。
人々の外出量はコロナ禍前の水準に戻りつつも、YouTube市場は右肩上がりに拡大し続けています。コロナ禍直後は芸能人のYouTube参入が目立ちましたが、2022年は企業のYouTube活用も大きく幅を広げてきました。さらにYouTubeを利用する人は月間で7,000万人を超え、60代以上でも半数以上の人が利用するようになりました。

さて、2023年のYouTubeはどのような変化を遂げるのでしょうか。

毎年恒例のエビリーの社内YouTube専門チームが導き出した「2023年のYouTube大胆予測」を今年もお届けしたいと思います。『kamui tracker(カムイトラッカー)』で、独自に蓄積したYouTubeデータと社内の専門家の知見を総動員し、2023年のYouTubeがどのように変化していくかを予測しました。ぜひ今後のYouTube活用に活かしていただければ幸いです。

目次

1. 新たな成長領域の可能性
 1.1. ショート動画によるビジネスチャンスの拡大
  1.1.1. ショート動画の市場概況
  1.1.2. ショート動画の収益化
  1.1.3. 企業での活用
 1.2. VTuber × 企業の広がり
  1.2.1. VTuberタイアップの市場概況
  1.2.2. VTuberを活用したタイアップの幅は広い
 1.3. 40代以上をターゲットにしたYouTube活用の増加

1. 新たな成長領域の可能性

コロナ禍以降、YouTube上の競争は激化し続けており、コンテンツや運用方法についてはより一層の工夫が求められるようになりました。
テレビ番組のような作りのYouTubeコンテンツが出てきたり、これまでのYouTubeコンテンツの配信では人気YouTuberでも伸びが鈍化してしまったり、この1年でさまざまな変化が見られました。

この数年お伝えし続けている「チャンネル開設するだけでは伸びなく、徹底した戦略立てと最適なPDCAを回しブラッシュアップし続けること」は、YouTubeの成長には今後も必須の項目となってきます。
動画制作だけでなくチャンネルの戦略・企画段階から入るYouTubeマーケティングのプロも増え、2022年もさらにYouTubeコンテンツのクオリティは上がり続けてきたと言えるでしょう。

このように競争が激化した中でも市場が広がり続けるYouTubeや動画の可能性はいまだに大きく、「いかに成長領域を見つけて伸ばすか」ということが重要となっています。
昨年から注目されているショート動画を含めた、2023年さらに成長するであろう「主要な成長領域」を3つ挙げたいと思います。

1.1. ショート動画によるビジネスチャンスの拡大

ショート動画とは、縦型画面で観る1分以内のYouTube動画のことを指します。昨年から成長領域として注目されていた「ショート動画(Shorts)」は、2023年2月より収益化が始まることも発表され、より一層注目されるコンテンツの一つとなっていくと予測されます。ショート動画の活用がご自身のYouTubeの成長の鍵を握るかもしれません。

1.1.1. ショート動画の市場概況

図1)ショート動画の月間投稿動画に対する視聴回数推移
図1)ショート動画の月間投稿動画に対する視聴回数推移

図2)ショート動画の月間投稿本数推移とその割合
図2)ショート動画の月間投稿本数推移とその割合

図1と図2を見てもわかるように、2021年1月以降ショート動画の投稿本数及び視聴回数は伸び続け、YouTube全体で見てもショート動画の割合が大きくなっています。
ショート動画はTikTokとの相性も良く、ショート動画で投稿した動画をTikTokにも投稿、その逆もよくあるケースです。SNSの市場全体としてTikTokをはじめとした短尺の縦動画の文化が定着してきていることで、横展開がしやすくなっていることも投稿数や視聴回数が増加している背景の一つでしょう。
TikTokで人気のクリエイターがYouTubeチャンネルを開設して、ファンを呼び込みうまくチャンネルを成長させている例も少なくありません。

YouTubeチャンネルで現在登録者数2,020万人を超える「Junya.じゅんや」はTikTokでの配信からスタートし、TikTokでの人気が出始めた2020年にYouTubeをスタートさせました。
TikTokでの人気がすでに高かったこともあり、YouTubeでもあっという間に人気を獲得し、2021年の登録者数獲得ランキングで1位になりました。

1.1.2. ショート動画の収益化

2021年5月にYouTubeはすでに、ショート動画クリエイターに対し、総額1億ドルを支払うクリエイター支援ファンド「YouTube Shorts Fund」の立ち上げを発表しておりショート動画に対して2年ほど前から力を入れていました。TikTokを筆頭にInstagramのReel(リール)などの伸びもあり、スマホにマッチした短尺縦動画サービスは動画SNSをリードするコンテンツとなってきています。これらに追随するようにYouTubeショートに力を入れる動きがより一層本格化しています。

そしてついに、2023年2月1日よりショート動画の収益化が開始されることが、YouTube公式より発表されました。ショート動画を中心とした動画を投稿するショート動画クリエイターは、チャンネル登録者1,000人以上、直近90日間のショート動画視聴回数1,000万回以上などの条件を満たせば、YouTubeパートナープログラムに申請できるようになります。

ショート動画におけるYoutubパートナープログラムの申請条件

※参照:YouTubeヘルプ

YouTubeパートナープログラム規定に「モジュール」構造が追加され、その中に「ショート動画収益化モジュール」が含まれるようになります。YouTubeで収益化を希望する場合、ユーザーは基本規定に同意後、3つあるモジュールのうち「ショート動画の収益化モジュール」に同意するかどうかを選択することができます。このモジュールに同意することで、ショート動画の収益化が開始されます。

※なお、既存のパートナープログラムにすでに参加し収益化しているユーザーも、収益化を継続するには新しい基本規定やモジュールへの同意が必要になります。収益化ルールの詳細はYouTubeヘルプのYouTubeショートの収益化ポリシーを参照してください。

収益化が実際にスタートすることにより、YouTube上でのショート動画の投稿数はさらに増えると考えられます。また新しくショート動画の投稿を始める YouTuberも増加するでしょう。それに伴って、YouTubeを伸ばすためにショート動画のクオリティや工夫はより高いものが求められることは避けては通れない話になるはずです。

1.1.3. 企業での活用

また下記の図3のグラフを見てもわかるように、タイアップ動画におけるショート動画の本数も徐々に増えています。本数自体は全体のタイアップ数と比較するとまだ数%程度と低いですが、緩やかに増加していることから、今後もその市場は広がっていくことが予測されます。

図3)月間タイアップ動画本数推移(ショート動画のみ)
図3)月間タイアップ動画本数推移(ショート動画のみ)

企業もショート動画を活用する理由は、2つあると考えられます。TikTokなどYouTube以外での展開によって、より広いリーチ(認知)を狙うことです。もう一つは、企業チャンネルを持っている場合、ショート動画をきっかけに深い訴求ができる長尺動画、チャンネル登録への誘導ができることです。
他にも「切り抜き動画」という観点からは、切り抜き動画を活用することで本チャンネルへの登録者数視聴回数を獲得を促す効果が見られています。切り抜き動画とは動画の中で反響のあったシーンを切り抜いて、第三者もしくは本チャンネルが投稿した動画のことです。

図4)切り抜き動画による登録者数、視聴回数の効果
図4)切り抜き動画による登録者数、視聴回数の効果

図4は切り抜き動画が出始めた前後1年間で登録者獲得数、視聴回数の変化がどれぐらいあったかを示しています。先述の通り切り抜き動画は、チャンネルの成長に効果的だと考えられます。切り抜き動画には1分以上のものも存在しますが、ショート動画でも切り抜き動画を活用している事例は少なくありません。
1分以内に動画のポイントをまとめて気軽に視聴できるようにし、長尺の本編動画へ呼び込むという動線作りとしては効果的と言えます。

このようにしてショート動画をうまく活用することで、企業の目的に合わせた訴求や動線作りが可能になりますが、先述したとおりコンテンツ内容や編集内容に工夫は必須になります。
以上のことから、 企業も含めたYouTube上でのショート動画の注目度は高まっており、2023年もショート動画の市場は広がり続けると言えるでしょう。

1.2. VTuber × 企業の広がり

VTuber(バーチャルYouTuber)とは、主にインターネットやメディアで活動する2DCGや3DCGで描画されたキャラクター、もしくはそれらを用いて動画投稿・生放送を行う配信者のことを指します。
VTuber自体は2016年12月から誕生したとされていますが、2022年はさまざまな業界でのVTuber活用が目立ったとも言えます。ゲーム業界にとどまらず、食品業界やアパレル業界、など業種問わずVTuberとタイアップ動画を配信する企業が増加しました。また、後ほど記載するようにVTuberと企業のコラボ商品が発売される動きも活発に見られました。企業にとっては、VTuber活用がYouTubeにおけるマーケティング成功のための大きな要素となるかもしれません。

1.2.1. VTuberタイアップの市場概況

図5)VTuberタイアップの案件数推移
図5)VTuberタイアップの案件数推移

図5を見てもわかるように、VTuberのタイアップ案件数は増加傾向にあります。この結果からも、企業のVTuber活用の需要は高まり続けると予測できます。

1.2.2. VTuberを活用したタイアップの幅は広い

VTuberはバーチャル上のYouTuberということもあり、ゲームやアプリケーションなどWeb関連での活用に限られるとイメージする人も多いかもしれません。実際に、ゲームやアプリケーション関係のタイアップ案件数は全体の半数以上を占めますが、それ以外の業界でも活用されている事例は増えています。

食品メーカー日清食品がVTuber壱百満天原サロメを起用したのも記憶に新しいのではないでしょうか。




他にも眼鏡メーカーJINSもセルフケアメガネ商品のプロモーションにVTuberを起用しています。




さらにはYouTube以外のコラボ事例として、VTuber事務所ごと複数のVTuberとともに商品コラボした、コンビニエンスストアチェーンローソンが挙げられます。
YouTubeにはそのコラボ商品を紹介するオーガニック投稿が配信されていました。



このようにして、VTuberはタイアップ動画としての配信だけでなく商品とコラボしてグッズ化もできますし、活用内容自体の幅も広いです。またVTuberの特徴として、バーチャル上のYouTuberのためスキャンダルなどの炎上リスクも少ないところが、企業が安心して活用しやすいポイントの一つとして挙げられるでしょう。
どの企業にとっても、マーケティング施策の一つとしてVTuberの活用は検討できうる領域でしょう。VTuberのチャンネル開設自体は、2018年をピークに減少傾向ですが企業のVTuber活用は今後も増加していくと考えられます。

※参照記事(2022年版!VTuberのバズるポイントは?最新トレンド調査)

1.3. 40代以上をターゲットにしたYouTube活用の増加

2022年にNTTドコモ モバイル社会研究所が発表したデータによると、40代でも60%以上の人がYouTubeを利用しており、50代〜60代でも50%以上の人が利用していることがわかっています。40代男性に関しては約73%の人がYouTubeを利用しています。

図6)YouTubeの利用ユーザー数と利用率|引用元:モバイル社会研究所
図6)YouTubeの利用ユーザー数と利用率|引用元:モバイル社会研究所

このように、今や40代以上のYouTube利用は一般的なものと言っても過言ではないようになってきています。さらに、こういった利用者側の状況を踏まえて40代以上向けのYouTubeチャンネルも増えてきています。実際に、40代以上向けのYouTube利用について取り上げるメディアも増えており、世間からの注目度も高まっていると言えるでしょう。

▼kamui trackerも調査協力を実施した実績があります


40代以上に人気の高いYouTubeチャンネルを2つ紹介します。

▼美容・ヘルスケア系チャンネル「SHOKO美チャンネル【40代50代の為の美容法】」

デパコスからプチプラまでの化粧品を取り扱いながら、40代50代向けに若見えメイク動画を中心に配信しているチャンネルです。綺麗に見えるだけでなく、若く見えるようになるBeforeAfterの写真などをレイアウトした引きのあるサムネイルも特徴的です。

▼投資・経済系チャンネル「オタク会計士ch【山田真哉】少しだけお金で得する」

制度や手順が複雑で理解しづらい金融や公共関係の話を、わかりやすく簡単に説明してくれます。実際に「シンプルでわかりやすい」「丁寧な説明」などのコメントも寄せられており、40代50代だけでなくシニア層にも理解しやすい内容に工夫されています。

他にもkamui trackerでは、40代以上に人気のYouTube調査を実施していますので下記の記事も参考にしてみてください。

このようにして、40代以上をターゲットとしたYouTubeコンテンツは今後さらに需要が高まり人気が出てくると予測されます。そして40代以上をターゲットにする場合には、若年層とは違う訴求の方法を工夫する必要があります。
40代以上では美容においても若年層とは悩みが異なりますし、ヘルスケアであればダイエットだけでなく、病気にならない健康な体づくりも関心の高いテーマになりやすいです。お金に関する悩みも変わってきますし、趣味嗜好も年代に合わせた訴求が必要です。わかりやすさや丁寧さだけでなく、コンテンツのテーマについても工夫することで40代以上をターゲットにした新しい成長領域でのYouTubeの成長も見込めるでしょう。


前編では、YouTube市場の現状を分析して今後の展望を予測しました。後編では、YouTubeを活用したマネタイズの変化について、2023年どのように発展していくかをお伝えしていきます。
後編の記事は、下記よりチェックしてみてください!

エビリーでは『kamui tracker』を活用して2023年のYouTubeがどのような動向を見せるか、今後も継続して観察し分析していきたいと思います。YouTube活用にご興味のある企業の方は、下記のボタンよりお気軽にお問い合わせください。

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